塩分過多

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メギドの元ネタさっくり調べてみた③いつメン編(前編)

前回:アガリアレプトさん復刻まだかな

siodimaly.hateblo.jp

 

メギドがどこまで元ネタ…悪魔伝承などなどを踏まえているか気になったので、この際調べてみることにしました。

目指せ全メギド制覇!(多分無理)

というわけで今回は、祖メギド編最初ということで、いつメンこと初期メンバーよりブネ」「ウェパル」「ラクについて取り上げてみようと思います。

なお、筆者はこのあたりの専門ではないうえ、インターネットと一部書籍を中心に「さっくり」知らべた情報なので、その辺りはご注意願います。

 

本題に入る前に、そもそも「祖メギド72柱」ってなんなの?という話に触れておこうと思います。

様々な伝承・宗教等を出典に持つ真メギド達と異なり、祖メギド72柱は全員、ソロモン王の作とされるグリモア(魔術書)『レメゲトン』の第一章『ゴエティアゲーティア、ゴーティアとも)』を出典に持ちます。俗に「ソロモン72柱」「ソロモンの霊(Spirit of Solomon)」と称される悪魔たちです。タイトルの「メギド72」の「72」という数字もここから取られています。
だけど本によってリストにブレがあるので本当は72柱以上あるのは内緒だ。

さらに掘り下げると、『レメゲトン』(だけでなく他の悪魔学文書)も、黙示文学の『エノク書』…を騙る文献(偽エノク文献)に記された悪魔に関する記述の影響を受けているとされており、ソロモン72柱の悪魔の中でも、エノク書にも記述のある悪魔(以下、エノク書のデーモン)はかなり古い悪魔たちといえます。

ソロモンと悪魔の話をもう少し掘り下げると、伝説によれば、ソロモンが72人の謀叛のデーモン王を集め、真鍮の容器に封じ込めて深い湖に投げ込んだことが始まり。その後、その容器はバビロニア人によって見つけ出され、破壊されたことでデーモンたちは解き放たれ、最も強大なベリアルが崇拝されるようになったそうです。
(少しストーリーに触れる話ですが(以下白文字)ベリアルが最初の追放メギドという設定は、おそらくこの伝説からでしょう。

また、これらソロモン72柱は、それぞれに記号が与えられていることでも有名です。ヘブライ語しか聞こえない漫画読者ならコミックス扉絵で見覚えがあるかもしれません。
メギド72では記号が使われている分かりやすい痕跡はありませんが、もしかしたら隠されているかも…?(知らんけど)

 

それではいよいよ本題レッツゴー。

 

ブネ

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https://megido72-portal.com/megido/%E3%83%96%E3%83%8D

メギドNo.26、みんなの頼れるヒロインブネさん。

ソロモン72柱エノク書のデーモン双方に名を連ねる古い悪魔の一人で、『レメゲトン』をはじめとする多くのグリモアでは、地獄の30の軍団を率いる悪魔の「公爵」であるとされています。
召喚されると、人・グリフォン・犬の頭を持つドラゴンまたは獣として現れるとされていますが、『悪魔の偽王国』では一つの頭が人間に似ているとだけ言われていて他の二つには言及がなかったりします。メギド体がドラゴンの姿なのはこの辺りから取られていると考えられます。
能力は会話・智慧の獲得・死の呪文の支配とされており、エノク書のデーモンのリストでは「死者に居場所を変えさせ、死者の墓に悪魔を集める」とされています。

…列攻撃とか覚醒減関係ないな…

また、タタールの魔法使いは、ブネに従う悪魔(魔神)たちをブニと呼び、極めて有害な存在として恐れていたそうです。自分は新人モンモンなのでブニさんのことはミリしらなのですが、ブニさんがブネの元配下?とされているのはこの辺りの記述からでしょう。

 

ウェパル

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https://megido72-portal.com/megido/%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%91%E3%83%AB

メギドNo.42、メギドが誇るスーパークールビューティー・ウェパルさん。ヴェパール、セパールとも呼ばれるそうですが、メギド72ではウェパル表記になっています。

ソロモン72柱の一人で、地獄の29の軍団を率いる公爵であるとされます。
召喚されると人魚の姿で現れるとされており、メギド体は伝承に忠実なものであることが分かります。また、ソロモン72柱では、グレモリーと並んで「女性体で現れる」と明言された数少ない悪魔です。
能力も水に関わるもので、海を支配する力を持ち、命じられれば嵐を起こしたり船を沈めたりとダイナミック。また、船の幻を作り出したり、人間に有毒な傷を与えて苦しめることも可能だそうです。その一方で、水に関わる者すべての守護者であるともされており、何だかんだスケールの大きい悪魔です。
また、グリモア『悪魔の偽王国』によれば、自分の与えた傷を治す力を持っているとされており、奥義「セイレーンの涙」のHP回復はそこから取られたものかもしれません。
ちなみにセイレーン(セイレンシレーヌとも)は上半身が人、下半身が鳥または魚とされるギリシア神話の怪物。『地獄の辞典』ではウェパルはシレーヌの姿で現れるとされており、奥義名もおそらくここからでしょう。

 

ラク

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https://megido72-portal.com/megido/%E3%83%A2%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%B9

メギドNo.21、元気と肉がトレードマークのモラクスくん。フォライー、フォラクスと呼ばれることもあるそうですが、メギド72ではモラクス表記。

ソロモン72柱の一人で、36の軍団を率いる伯爵にして総裁であるとされます。
雄牛の頭をもつ人間の姿で現れるとされていますが、これにはギリシア神話ミノタウロスが関係しています。ミノタウロスは元々悪魔とは関係のない伝承でしたが、ダンテが『神曲』の地獄篇において取り上げたことで悪魔学の文献で扱われるようになり、それに伴って似た近しい概念であったモラクスも悪魔学に取り込まれた…という経緯があるそうです。メギド体の姿、そして奥義の「ミノスの大戦斧」、贈り物の「アステリオスの兜」はここから来ているのでしょう。
(アステリオスミノタウロスの異名、ミノタウロスは「ミノスの牛」の意)
また『地獄の辞典』には、同じく牛の頭を持つ悪魔・モロクについての記載があります。モロクもまた、子供の生け贄を求める悪魔であり、地獄の宮廷において涙の国の君主および騎士団の指揮官を務めているとされています。
 …直接モラクスが子どもの生贄を求めるという記述はありませんが、関連する悪魔や伝承が子どもの生贄を求めるものばかりなのに、モラクスくんは子どもの姿というの、何かこう…ありますね。

 

という感じで、メギドの元ネタ「さっくり」調べてみた、いつメン前編でした。解説も入れたのですごい長くなってしまった…。

こんな感じでさっくり気ままに調べていきたいと思うので、よかったら今後もよろしくお願いします。

もしここの元ネタこれだよ!とかここ間違ってるで!とかありましたら、コメント頂けると嬉しいです。

 

【参考文献(インターネット以外)】

悪魔の事典(1992・青土社
著:フレッド・ゲディングズ 訳:大瀧啓裕

地獄の辞典(1990・講談社
著:コラン・ド・プランシー 訳:床鍋剛彦