メギドの元ネタさっくり調べてみた④いつメン編(後編)
前回:SAKEイベントのいつメン不在感新鮮だったね
メギドがどこまで元ネタ…悪魔伝承などなどを踏まえているか気になったので、この際調べてみることにしました。
目指せ全メギド制覇!(多分無理)
というわけで今回は、祖メギド編最初ということで、いつメンこと初期メンバーより「バルバトス」「シャックス」、1章追加メンバーの「ガープ」「マルコシアス」について取り上げてみようと思います。
なお、筆者はこのあたりの専門ではないうえ、インターネットと一部書籍を中心に「さっくり」知らべた情報なので、その辺りはご注意願います。
バルバトス
メギドNo.8、主に笛吹く吟遊詩人・バルバトス。某ゲーで1秒間に44本殺されたことで非常に有名ですね
エノク書のデーモン及びソロモン72柱の一人で、地獄の30の軍団を率いた伯爵兼公爵であるとされます。また、中世の神学者には、かつては天界で主天使または力天使の地位にあったと主張されたそうです。まさかの元ハルマ説。
自らの率いる軍団の先頭に立ち、射手か狩人の姿で森に現れるとされています。『地獄の辞典』では、「地獄のロビンフッド」なる異名が挿し絵につけられていたり。
鳥や雄牛などといった動物の鳴き声による占いの達人であり、友人同士のいさかいの調停役も務めるとされています。もしかしたら一行のバランサー的な役割が多いのはこの辺りもある…のかもしれない。
また、メギド体で構えているホルンは、『地獄の辞典』にある「四人の王が彼の前でホルンを奏でる」の記述からの連想だと思われます。自分で奏でてるじゃんというツッコミはなしで。
シャックス
メギドNo.44、鳥頭ことシャックス嬢。スコクス、スコックス、シャクスなどなど表記があるようですが、メギド72ではシャックス表記になっています。
(『地獄の辞典』『悪魔の事典』のどっちにも「シャックス」表記はなかったのだけど、どこから取ったんだろう…Wikipediaは「シャックス」表記だったけど)
ソロモン72柱の一人で、30の軍団を率いる地獄の公爵兼大侯爵であるとされます。
メギド72ではやたら「不幸」が強調されていますが、原典ではとくにそういう能力を持っているわけではなく、召喚した者のために金を盗んだり、隠された財宝のありかを教えたりといった能力を持っているとされています。メギド体が地図を持っているのは、後者の能力からでしょうか?
また、劇中では「鳥頭」扱いですが、原典ではむしろ召喚者に対しても嘘を吐き、魔法の三角形に閉じ込められないと本当のことを話さないという、狡猾かつやっかいな悪魔であるとされています。
けっこう原典伝承から違いのあるシャックスですが、鳥(コウノトリ)の姿で現れるというところは変わっていません。ずいぶん可愛くなっちゃっているけど。
ガープ
メギドNo.33、全国n百万人(推定)のモンモンの息子・ガープ。
筆者の推しメギド筆頭です。うおーッ!息子ーッ!
タプ、タップ、ゴアプと呼ばれることもありますが、メギド72ではガープ表記です。
エノク書のデーモン及びソロモン72柱の一人で、60の軍団を従える地獄の大総裁、そしてエノク書では「四方のデーモン」の一人として伝えられている、非常に地位の高い悪魔です。さすがおれたちの息子だ。
ちなみに、かつては能天使の階級にあったが堕天したという説もあります。嘘だろ息子。
正午の時のみ、4人の王を伴った人間の姿で現れるとされていますが、本当の姿は翼と2つの角を持った悪魔らしい悪魔の姿(メギド72のエネミーではデーモン系に近い)であると伝えられています。これは、コラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』の影響が大きいそうな。
能力も、人を無知にしたり逆に教養を与えたり、使い魔を奪い取る、過去・現在・未来の出来事について答える、召喚者を瞬間移動させると多岐にわたっています。さすがおれたちの息子だ。
「四方のデーモン」は劇中の「フォルマウスの四冥王」の元ネタであると思われます。
これはエノクのデーモンについての文献に記載されている悪魔のリストで、悪魔学者であるレギナルド・スコットによれば、アマイモンが東の王、ゴルソン(コルソン)が南の王、ジニマルが北の王、ガープが西の王であるとされています。
一方で、東の王がウリクス、南の王がアマイモン、西の王がパイモン、北の王がエギュンであるとするリストもあるようですが、フォルマウスの四冥王の描写を見る限り、メギド72で採用されているのはスコットの説でしょう。
ちなみに「フォルマウス」の方は文献・インターネット共に元ネタが見つかりませんでした…そもそも何語かも不明なので、もしかしたらメギドラルの地名としての造語なのかもしれません。
マルコシアス
メギドNo.35、私本性獣嵐如破壊力!ことマルコシアス。一部の文献ではマルコキアス、と呼ばれることもあるそうです。
エノク書のデーモン、そしてソロモン72柱の一人であり、30の軍団を率いる地獄の大侯爵であるとされています。
エノク書ではグリフォンの翼と蛇の尾を持つ牝狼の姿で現れるとされており、メギド体のデザイン、そして転生後の女性の性別設定はここから取られていると考えられます。また、先述の悪魔学者・スコットによれば、人間の姿で現れるときには長身の騎士の姿で現れ、あらゆる質問に忠実に答えるとされています。
加えて、元は主天使の地位にあったとされており、グリモア『ゴエティア』『悪魔の偽王国』ではソロモン王に第七の玉座(神の住居とされるところ)に戻りたかったと話す描写があるそうです。
ちなみに、イベントで共演したアンドレアルフスとの原典での接点はそこまではなく、同じソロモン72柱であること程度でした。意外。
という感じで、メギドの元ネタ「さっくり」調べてみた、いつメン後編でした。
そういえば地獄の地位に関する話をし忘れたので、次回余裕があったら入れますね。
こんな感じでさっくり気ままに調べていきたいと思うので、よかったら今後もよろしくお願いします。
もしここの元ネタこれだよ!とかここ間違ってるで!とかありましたら、コメント頂けると嬉しいです。
【参考文献(インターネット以外)】
悪魔の事典(1992・青土社)
著:フレッド・ゲディングズ 訳:大瀧啓裕
地獄の辞典(1990・講談社)
著:コラン・ド・プランシー 訳:床鍋剛彦