塩分過多

ツイッターよりもう少しちゃんと書き留めておきたいこと(当社比)をまとめるゆるいブログ。

実写四部(#ジョジョ映画)は○○ではない

(2018/5/29 追記:6/3に実写四部の同時再生企画やります。もしよかったらよろしくお願いします)

siodimaly.hateblo.jp

 

 (2018.10.05追記 いつの間にかアマゾンプライムでレンタル出来るようになっていたようです)

http://amzn.asia/d/5MYG1gL

 

(2019.2.4追記 ついに2/10深夜に地上波でやります)

ついに地上波初放送!映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」 | TBSテレビ

 

(2019.2.21追記 3月からAmazon prime ビデオ見放題にやってきます!!もしかしたら同時再生企画またやるかもです(予定は未定))

https://twitter.com/PrimeVideo_JP/status/1098386833535193088?s=19

 

今日、某黄色レンタルショップに行った時、ある映画のレンタルが始まっているのを見かけた。

 

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ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けないー第1章ー」(以下、実写四部)、人気漫画・ジョジョの奇妙な冒険の第4部を実写化した映画だ。

 

そのポップはかなり力が入っていて、近くにFilmarksの高評価コメントが並べて書いてあったり、映画版のスタンドや登場人物たち、場面写真もちりばめられていたり、とにかく「この映画を見てほしい!」という思いがひしひし伝わってきた。
クラシカロイドを借りに来ていた私は、感動した。
こんな片田舎のレンタルショップに、実写四部にこれだけの熱意を持った人がいることに、感動した。

それと同時に、しょんぼりもした。
――きっと、このポップのチカラがあっても、一度ついた低評価は全ては覆せないのだろうな、と。

 

私は、実写四部は正当な評価をされていない作品だと思う。
公開”前”の(今思い返せば)異様とも思えるネガティブキャンペーンや、これはどこの層に向けているんだ?と首をかしげたくなるような宣伝、そしてその2つから生まれた「これはクソ実写化だ」という空気感が、公開が始まってから実写四部を観に行くことに抵抗感を生んでしまい、それが今も尾を引いているのだと思うのだ。

実際に、私も見に行くまではその「空気感」に飲み込まれてしまっていた方だった。『自称・原作好き』として、情報公開の度に何かと難癖を付け、「空気感」を作り出すことに関わってしまっていた。
そして、実際に覚悟を決めて実写四部を観に行き――「空気感」を作ってしまったことを……「なんで自分はあんなことを言ってしまったのだろう」「なんで自分は観もせずに決めつけてしまっていたのだろう」と、心の底から後悔した
(でも公開前の宣伝はそう思わざるを得ないような代物だったということもまた事実なのだけど、それでも私の罪は何も変わらないので、これ以上の言及は避ける。)

 

そして今、私は実写四部の宣伝ポップを見て、自分に何か出来ないかと考えた。
つまり、実写四部の魅力を、レンタルが始まった今だからこそ伝えることが出来ないかと。少しでも、「クソ実写化だという空気感」を払拭できないかと。

前置きが長くなってしまったが、今回は「実写四部は○○ではない」という話をしたいと思う。願わくば、これを読んだ誰かがレンタルショップでこの映画を手に取ってくれるように。

 

(20180527 写真と少し追記)

実写四部は「原作”再現”」の実写化ではない

実写四部は、「原作の完璧な再現」を目標としていない。

漫画・アニメ作品の実写化の多くは、「原作をそのまま3次元で再現する」ことを目標としていると私は感じているが、実写四部はそのタイプの実写化ではなくて、

 

実写四部は、「原作の”再構成”」の実写化だと思う。

 

もっと詳しく言えば、実写四部は原作漫画の「ジョジョ」の持つ要素を3次元に『最適化』して、さらに映画という表現手法の枠でより表現できるように、物語を『再構成』した作品だと思う。
宣伝だと(何故か)「原作再現」の実写化なようにプッシュされていたけど、そもそもの実写化のアプローチが違うから、「原作再現」の実写化としては微妙に映ってしまうのは至極当然な話だったのだ。

あと、同時期に公開されていた実写版『銀魂』が「原作再現」の実写化として大成功を収めていて、同じジャンプ作品の実写化として比較されてしまい安かったのも大きかったと思う。

公開前後のネガキャンの的だった、装飾品が減らされた衣装も、スペインロケも、「3次元のジョジョとしてのリアリティ」のための『工夫』だったことは、観終った今だと分かる。(問題は観ないと分からないことなんだけど)

もちろん、「漫画アニメの実写化は、原作再現してなんぼだ!」という意見の人もいると思うし、そういう人にとっては実写四部のアプローチは受け入れがたいのではないかと思う。それはそれで、正当な評価の一つだと私は思う。
私自身も、この映画は「4部の(再現としての)実写化」ではなく「実写化(としてのもう1つ)の4部」として『実写四部』と呼んでいるわけだし、前者としては(残念ながら)受け入れられないと感じている。
でも、実写四部が「原作再構成」の実写化ということが知られないまま、観る前から宣伝だけで「実写四部は(原作再現の)実写化としてはクソだ」という評価がされ続けることは、個人的にとてもさびしい。

 

実写四部は完結した作品ではない

先述した「原作の再構成」の実写化という話と絡めて、もう1つ、強調しておきたいことがある。

 

実写四部は、この一本で終わる作品ではない。

 

もちろん1つの映画としては、4部冒頭~アンジェロ戦~バッド・カンパニー(虹村兄弟)戦という2つの山で一区切りは付けられているのだけど、「第1章」が示している通り、これは4部の全てではないし、この後の話もある。
そして、ここが1番私が強調しておきたいところなのだけど、「実写四部は、原作既読者にも先が読めない作りになっている」――そう、物語が再構成されて、「もう1つの第4部」と言える作品になっているのだ。

これも賛否両論分かれるところだと思うが、私はものすごいワクワクした。この先が観たいと心の底から思った。そのレベルでの大胆かつ、魅せる「再構成」だったということは、声を大にして伝えたい。

もちろん、「再構成」がどのようになるのかは、第1章ではその一端しか見せられていない。その「一端」がどんなものなのかは――あなた自身の目で確かめてほしい。ホント。これマジで。検索とかしないで。フィルマークスもだめよ。

 

 実写四部は完璧な作品ではない

評価されている漫画・アニメの実写化を見てみると、映画の頭から最後まで再現度が高い、演技がすごいといった『完璧さ』が評価されているように私は思う。

 

その点で言えば、残念ながら実写四部は完璧な作品とは言えない。

 

そもそも、「再構成」の時点で再現度が高い、というところはクリアしにくくなっているし、実写四部が好きな私でも、序盤はスピードが遅いな…シーンチョイスがなんか微妙だな…と思ってしまう。(これも個人の意見です)

けれど、頭から完璧でないからといって、良い映画ではないというわけではないと思う。

実写四部の魅力の一つは、映画の中でのキャラクターの成長と、俳優さんの成長がシンクロして、最後のバッド・カンパニー戦で最高のクライマックスを迎えるところだ……と私は思う。

山﨑賢人氏演じる4部の主人公・東方仗助は、最初は自分のスタンドを無意識に過信し、少し生意気なような所があったが、物語の中で祖父の死を通じ、大きく成長するキャラクターだ…ということは、4部を読んだ人には周知の事実だろう。

(20180527追記:ここ、そこまで周知の事実ではなかったっぽい。まじかよ。)


この「成長」が、映画中での山﨑賢人氏の演技の成長と完全にリンクしていて、終盤のシーンでは「原作から出てきた仗助だ………」と思ってしまうまでの演技を見せてくる。そして、最初は何か微妙だな…と思っていたとしても、その気迫、その成長性「この仗助の話の続きが観たい…!」と思わせてしまう代物なのだ。

もちろん、山﨑賢人氏の仗助以外にも、確かに3部を経験した大人の落ち着きと余裕を見せる伊勢谷友介氏の空条承太郎、康一くんとして100点満点な多彩なリアクションと覚醒時のスイッチの切り替わる演技に震える神木隆之介氏の広瀬康一、原作通りのコワさと原作以上のミステリアスを見せる小松菜奈氏の山岸由花子、「これただの億泰だよね?」とつい言ってしまうほどの原作・アニメリスペクト演技で魅せる新田真剣祐氏の虹村億泰…と、脇を固める原作レギュラーメンバーの演技も素晴らしいし、原作とはまた違った「凶悪犯罪者」の顔を覗かせる山田孝之氏のアンジェロ、そして映画内でのラスボス、美しき悪役として最高の存在感を放つ岡田将生氏の虹村形兆…と、敵役の演技もまたヴィランとして申し分ない。(特に再構成点と相まって、岡田氏の形兆がホント最高なので見てください)

そこまで言わせるってどんなんなの?と思ったあなた、是非DVDを手に取ってほしい。

 

ちなみに、実写四部のマイナスポイントとしてよく上げられる点の一つに「ラッシュが微妙」というものがあったりするのだけど、これについてはアニメ版4部の声優・小野友樹氏による演技指導で、とんでもないレベルで成長しているので次回作では全く心配がいらないしむしろ先にそれを見て脳内で置き換えておけば何ら問題がないということは伝えておきたい。(下記動画参照・8:08からの所です ホントすごいので先に見てほしい)

https://www.youtube.com/embed/NF3yRNoPcmY?start=480

 

実写四部はクソ実写化ではない

ここまで長々語ってきたが、結論は1つだ。

 

実写四部はクソ実写化、失敗した映画ではない。

 

確かに宣伝や前評判…「空気感」の影響で、興行成績としては成功したとは言えないかもしれない。
「原作再構成の実写化」という挑戦で、原作再現を求める層には受入れがたかったかもしれない。
しかし、それでも!ここに少なくとも一人、実写四部にココロを動かされた人間がいる。私の周りではあるけれど、「続きが見たい」という声がたくさん聞こえてくる。

もし、実写四部が前評判そのままような「クソ実写化」だったら、「クソ映画」だったら、こんな声は聞こえてこないと、私は思うのだ。
フィルマークスの高評価が、チカラの入った宣伝ポップが、そしてこの記事が、生まれてこないと思うのだ。

 

だから、もし、まだ実写四部のことを信じきれない、借りる手が動かないという人がいたならば、どうか、私を信じてほしい。


100%、全ての人に受け入れられる作品ではないかもしれないが、少なくとも、この記事を見て興味を持ってくれたあなたならば、きっと大丈夫だと思う。


――そしてあなたも観終ったころには、あのもう1つの奇妙で素敵な町の物語の続きが観たいと、思うはずだから。